日本酒は、日本人の心です。

 古来から稲作文化であり、瑞穂の国、といわれる日本。主食である貴重な米を原料に酒を作り、神や自然への感謝と恐れの気持ちから「お神酒」を捧げました。そして、神へ五穀豊穣の祈願と感謝を現すために全国各地で生まれた「祭り」の文化、そこでも日本酒は欠かせません。日本全国に1300ほどの酒蔵があり、創業100年はあたりまえ、最も歴史ある酒蔵は、1141年創業、現社長は55代目と、その土地の歴史とともに脈々と受け継がれているのが日本酒の酒蔵です。それぞれの地域、また蔵によって個性があり、その土地の風土、気候、水、郷土料理などに合う酒造りがされています。
日本酒はワインと同じ醸造酒ですが、ワインはぶどう、日本酒は米から作られます。
まずは原料となる米、そして水の質、酵母などが日本酒の味わいに影響しますが、複雑な造り方のため、例えば米の出来があまり良くない年でも、造り手(杜氏)の力量によって、質の高いお酒を毎年造ることが可能です。造る工程で最も大切なことの一つが温度管理。微生物を相手に上手く発酵を促し、目指す味わいに持っていく、繊細なお酒なので、通常は冬場の寒い時期に造られることが多いです。

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日本酒の楽しみ方(1):タイプを選ぶ

 日本酒は、米を磨いて米の周りにある雑味の原因となる部分を取り除きます。磨けば磨くほど、フルーティーな香りで、雑味感のない上品で綺麗な味わいになるので、冷やで、ワイングラスで頂くのがおすすめです。
米を50%以上磨いたものを「大吟醸」、60%以上のものを「吟醸」と呼びます。中には、8%まで磨いた大吟醸を造る酒蔵も!蔵で造る日本酒の中でも、大吟醸や吟醸は造る量が限られており、原料にもこだわり、手間や時間をかけて造られることが多いです。
また、米と米麹だけで造られた日本酒は「純米酒」と呼びます。最近では、純米酒しか造らない酒蔵も少しずつ増えてきています。中には精米歩合が80%くらいの純米酒もありますが、酒蔵のこだわりで、あえて精米歩合を低くし、米の旨味をたっぷり感じてもらいたい、農家さんから頂いたお米を大切に使いたい、という想いで造っています。このような精米度合いが低い純米酒は、冷やでも勿論楽しめますが、常温か、お燗で40度~45度くらいに温めると、より口当たりがまろやかになりお米の味わいを感じることができます。
日本酒には通年楽しめる日本酒も勿論ありますが、四季折々、その時にしか頂けない季節限定のお酒もあります。新酒、夏酒、秋あがり(ひやおろし)…、ラベルも季節を感じるものが色々とありますし、ぜひそれも楽しんで下さい。また、日本酒には瓶内二次発酵のスパークリング日本酒や、にごり酒、何年も寝かせた古酒などもあります。
アルコール度数は、14~16度くらいが平均ですが、原酒だと20度になるものもありますし、最近は低アルコールの日本酒も増えていて、8度~13度くらいのワインと同じくらいのアルコール度数の日本酒もあります。度数が高いと感じたら、氷を少し入れてロックにして頂くのもお勧めです。お酒は嗜好品ですので、その時の気分や合わせる料理によって、タイプや飲み方を変えてみてください。

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日本酒の楽しみ方(2):料理を選ぶ

 白ワインも魚介類に合うと言われていますが、日本酒は、貝類の臭みをとり、旨味に変えるので、貝類、魚卵系を使う料理には、日本酒の方が圧倒的に合います。また、日本酒はアミノ酸が豊富なので、和食だけでなく、フレンチ、イタリアン、中華、エスニック…様々な料理に合わせることができます。日本酒には、800種類以上の香りや味わいの成分が含まれているといわれているので、ハーブやスパイスを使った料理とも合うのですね。また、発酵食品との相性もよく、味噌、醤油だけでなく、チーズとの相性も抜群です。ぜひトライしてみてください!また、酸が高めの純米酒をお燗につけて、肉料理と合わせると、日本酒のアミノ酸との相乗効果で肉の旨味が増し、さらに余計な脂を流してくれ、口の中をさっぱりとさせてくれるのでお勧めです。日本酒は、旨味を出すために調味料として使われることもあるくらいですし、料理と切っても切れない関係、影の立役者、まさに食中酒として最適なお酒です。日本酒は米から出来ているので、米と合う料理には日本酒も合います!ぜひ色々な料理との相性を試してください。

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日本酒の楽しみ方(3):酒器を選ぶ

 同じお酒でも、温度変化や酒器の形、素材によって味わいが変わるのも、日本酒の醍醐味。
特にお燗酒を追求すると奥が深く、35~60度くらいと幅広く、それぞれの温度によって、味わいが違ってきます。お燗すると、お酒本来の味がふっくら膨らんで、隠れて味わい、旨みがふんわり花開くので、ごまかしがききません。美味しい日本酒はより美味しくなります。お燗酒は基本おちょこでいただくので、少しずつ飲むし、ゆるやかに酔うことができます。体に優しくしみわたり、リラックス効果もあります。体を温めるので、冬場や、クーラーの効いた夏場も体が冷えているので、実はお勧めです。
家では、ポットのお湯(95度)1分半で40度くらいのぬる燗を作ることができます。
すず製のおちょこは熱伝導率がよく、冷めにくいですし、日本酒の味わいをまろやかにしてくれます。他にもガラス製、陶器、漆など様々ありますが、厚みや形、素材によっても日本酒の味わいが違いますので、試してみてください。

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最後に...

 最後に、日本酒はとても口当たりがよいので、つい杯を重ねてしまいますが、飲み過ぎるとやはり翌日に響いてしまいますので、チェイサーも一緒に飲むことをおすすめします。私も、日本酒の2,3倍の水を飲むようにしていますが、翌日もすっきり目覚めることができます。酔うためのお酒ではなく、造り手の想い、情熱を感じながら、料理との相性を楽しみ、そして同席する仲間との楽しい時間の演出として、日本酒を飲んで頂けると嬉しいです。

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あおい有紀(酒サムライ)

兵庫県神戸市出身
航空会社勤務を経てフリーアナウンサーに。報道、スポーツ、情報番組のキャスター、レポーター、ナレーターなどを担当し、現在はフジテレビ「とくダネ!」内の、生CMパーソナリティを務める。一方、食やお酒に関心を持ち、一級フードアナリスト、きき酒師、焼酎きき酒師、日本箸教育講師などの資格を習得。食・日本文化を通じた地域活性に力を入れており、特に日本酒の魅力を伝えたいと、コラム執筆、雑誌での日本酒特集監修をはじめ、数多くのイベントや酒蔵ツアーを企画・主催、セミナー、講演、トークショーなど幅広く活動。日本酒が嗜める女性はカッコイイ!という価値観も広めたいと発信している。

日本酒造青年協議会運営 酒サムライ叙任。(2011年)

※「酒サムライ」とは、日本酒造青年協議会が、日本酒を愛し、また日本酒の素晴らしさを国内外に広めることに貢献している、または貢献できる可能性を持つ者を、選任または承認し、「酒サムライ」として叙任しているもの。歴代叙任者には、マスター・オブ・ワインの数名を含む、国内外の醸造酒関係の専門家や食の専門家をはじめ、多くの著名人が名を連ねている。
www.sakesamurai.jp/project_english.html

観光庁主導 酒蔵ツーリズムにて目利き役(2013年4月~)

  • ・播磨酒文化ツーリズム (兵庫県 姫路市役所 観光課)
  • ・和酒女子に向けた日本酒ツーリズム (青森県 十和田市役所 観光課)
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